初心者でも失敗しないスモークチーズの燻製方法 | ヒゲキャンパー(higecamper) ヒゲキャンパー

初心者でも失敗しないスモークチーズの燻製方法

(最終更新日:2019/05/17 執筆者:ヒゲキャンパー)

燻製といえば燻製ベーコンの他に、燻製卵やスモークチーズが有名です。

中でも、スモークチーズは燻製方法によっては失敗しずらく、既製品として販売されているスモークチーズと比較しても、驚くほど美味しくできます。そのため、燻製初心者がチャレンジする燻製料理としてもオススメです。

今回は自宅で燻製するスモークチーズの作り方を紹介します。

目次
燻製するチーズの選び方
燻製に必要な調理器具や材料
スモークチーズの燻製工程
失敗しないために重要な3つのこと

燻製するチーズの選び方

まず、スモークチーズを作る上で重要なことは、熱に強いチーズを使うことです。プロセスチーズが代表的です。
なぜなら、チーズを燻製するときに、スモークチップを加熱する必要があるためです。熱に弱いチーズだと、燻製時にトロトロに溶けてしまいます。

燻製には、スモークチップを高い温度で熱することで燻製する温燻、熱燻と、スモークウッドに火をつけて燻製する冷燻があります。温燻と熱燻の違いは、スモークチップを熱する時の燻製ポッド内における温度の違いで、熱燻の方が温燻より、高い温度で燻製することを指します。

熱の違いを確認するためにも、燻製ポッド内の温度を計るために、温度計があると便利です。


スモークチーズは、スモークウッドで燻製する冷燻でも作ることはできますが、スモークチップで燻製する温燻がメジャーかと思います。

スモークウッドでの冷燻でスモークチーズが作られないのは、おそらくスモークチップで燻製するのと比較して、燻製するのに時間がかかったり、コストがかかるためだと考えています。

チーズを含むいくつかの食材を燻製するときは、燻製時間を短くするために、スモークチップを熱することで燻製する温燻、または熱燻することが多いです。チーズに関しては、温燻で短時間の燻製により作ることができます。

短時間の燻製で熱燻より温度の低い温燻といえど、燻製ポッド内は60℃前後となります。そのため、熱に強いプロセスチーズである商品名でいうと、6Pチーズ、ベビーチーズやファミリアチーズなどを選びましょう。

燻製に必要な調理器具や材料

チーズを燻製してスモークチーズを作る際は、以下の調理器具や材料が必要となります。

スモークチップ

スモークチップやスモークウッドなしに燻製料理を作ることはできません。


チーズを燻製する時は、それほど長い時間で燻製しないため、スモークチップで良いかと思います。

スモークチップの分量も、チーズを一回燻製するのに、軽くスモークチップを一掴みで大丈夫です。燻製にあまり慣れていないと、つい大量のスモークチップを使いがちですが、温度をあげすぎず、短時間で燻製するチーズは少量のスモークチップで燻製できます。

スモークチップも、サクラ、ナラやクルミなど、色々な種類が存在しますが、特にこの種類のスモークチップでなければいけない、といったことはありません。何回かスモークチーズを作っていく中で、好きなチーズとスモークチップの組み合わせを見つけましょう。

燻製ポッドと網

私は燻製料理を作ることが趣味で、燻製する回数も多いため燻製するための調理器具として、燻製するために作られた燻製専用の鍋である燻製ポッドを使っています。

しかし、誰しも燻製ポッドが必要なわけではありません。火をかけてスモークチップを熱することができ、煙を逃がさない器具であれば何を使用して燻製しても構いません。
簡単に燻製をはじめたいのであれば、フライパンや中華鍋にスモークチップから浮くように網を設置して、上から煙がもれないようにアルミホイルで覆うことでも燻製調理することができます。

一方で野外にて一度に大量に燻製したいのであれば、空の一斗缶でも網さえ設置することができれば、燻製調理することは可能だと言えます。

クッキングシート

チーズを燻製する上で失敗しないために重要なのは、クッキングシートの有無です。


6Pチーズ、ベビーチーズやファミリアチーズなどの熱に強いプロセスチーズを燻製するといっても、多くのチーズは熱で溶けて形が変わってしまいます。

熱で溶けて形が変わることで、網にチーズがくっついてしまったり、小分けに切れていたチーズ同士がくっついてしまったりします。特に網にスモークしたチーズがくっついてしまうと、連続した数回の燻製が難しくなったり、燻製後の網を洗うときにコゲがこびりついて清掃が大変です。

クッキングシートを網の上に敷き、その上にチーズをのせて燻製することで、チーズを溶けにくくするだけでなく、燻製後の清掃がとても楽になります。

アルミホイル

燻製する鍋の底面にアルミホイルを敷き、その上にスモークチーズを敷き並べることで、数回の連続した燻製が楽になります。

スモークチップは燻すことで、こげて煙がでなくなります。コゲたスモークチップを交換するのに、熱した鍋は熱くてさわることができないので、アルミホイルごと持ち上げてスモークチップを交換します。

燻製後も、コゲたスモークチップが鍋にこびりつくこともなくなるため、非常に楽に鍋を洗うことができます。

スモークチーズの燻製工程

燻製したいチーズと燻製に必要な調理器具や材料を集めたら、スモークチーズ作りのスタートです。

1.燻製前に必要なこと

燻製する際に、1番はじめからやっておくこととして、チーズを乾燥させておきます。乾燥といってもカピカピになるくらいがっつり乾燥させるわけではありません。チーズの表面を乾燥させて、チーズを常温にしておきます。

なぜ、チーズの表面を乾燥させ常温にしておくかというと、燻製時にチーズ表面へ付着する水分を発生させないためです。燻製時にチーズから水分が発生し、表面に付着してしまうと、妙に酸味が残るスモークチーズが出来上がってしまいます。

冷蔵庫から取り出した直後のチーズを、すぐに燻製してしまうと、チーズの冷たさと燻製ポッド内の温度差で、チーズの表面に水分が付着する可能性が高まります。
チーズの燻製は他の食材と違って、燻製前の仕込みや下準備がとても少ないのですが、チーズの乾燥は忘れないようにしましょう。

2.クッキングシートの上にチーズを並べる

燻製ポッドの底面積より少し小さめにクッキングシートをカットします。

カットしたクッキングシートの上にチーズを並べていきます。
チーズを並べていく時は、チーズとチーズをあまり近づけないようにしましょう。溶けにくいチーズを燻製するとはいえ、熱によってチーズは膨張します。
膨張した時に、チーズ同士がくっついてしまう可能性も考えられます。

少し余裕をもってチーズを並べていくと、うまく燻製することができます。

3.燻製ポッドにスモークウッドを入れる

燻製ポッドにアルミホイルをしき、スモークチップをひとつまみ入れます。


アルミホイルは燻製ポッドの底面積より大きめにカットし、アルミホイルの両端があまるように設置すると、アルミホイルを交換するときに楽です。

スモークチップ自身に火がつき、煙をだして燃えるわけではありませんが、燻製した後の焦げたスモークチップはそれなりに高温です。
アルミホイルの交換時や、スモークチップの交換時には、手を火傷しないように工夫したり、注意しましょう。

4.燻製ポッドに火をかける

燻製ポッドへスモークチップを入れたら、クッキングシートの上に並べたチーズを網ごと燻製ポッド内に設置する前に、燻製ポッドへ火をかけます。

溶けにくいチーズといえど、長時間の高温で熱したらチーズが溶けてしまいます。スモークチップからでてくる煙が燻製ポッドから漏れてくるまで、中火から強火で鍋に火をかけましょう。

5.スモークチップから煙がでたらチーズを入れる

燻製ポッドからスモークチップから発する煙が漏れだしたり、スモークのにおいを感じたら、燻製ポッドの蓋をあけて、クッキングシートの上に並べたチーズを、網ごと燻製ポッド内に設置します。

調理器具によっては、鍋の蓋が熱い場合もあるため、火傷に注意します。
燻製ポッド内の煙が外に逃げ出さないように、蓋のあけしめや、網の設置は素早く行うのがオススメです。

6.燻製中のチーズの状態を確認する

燻製中は燻製ポッドの蓋をあけて、時々チーズの状態を確認します。

チーズに燻製の色が着色してきたか、スモークチーズとして完成したのに溶けるまでスモークしてしまっていないか、などを確認します。燻製に時間がかかるとしても、鍋にかける火を強めて温度を上げすぎない、長時間スモークしないように気をつけましょう。チーズがとけてしまいます。

燻製しているところをじっくり待つというのも、燻製の楽しみと言えます。

また、もし燻製中にチーズがあせをかいて表面が水分で濡れていた場合、表面の水分をキッチンペーパーで拭き取りましょう。
チーズの表面が濡れた状態でスモークしてしまうと、スモークチーズの味に酸味がでたり、保存できる日数が少なくなってしまいます。

7.スモークチーズとして着色したら燻製ポッドから取り出す

燻製中に燻製ポッド内を確認して、チーズがスモークチーズとして着色したら燻製ポッドから取り出します。

着色の目安は特にありません。というのも、燻製するチーズの色ももともと違いますし、使用するスモークチップによっても、着色する色の濃さは異なるためです。
初回は難しいですが、繰り返し燻製し、スモークチーズを作っていく中で、好みの燻製度合いを見つけていきます。

燻製するチーズと使用するスモークチップで異なるスモークチーズが作れるので、好みの燻製度合いを探すのも趣味として楽しめたりします。

8.燻製後にスモークチーズを冷蔵庫で冷やす

燻製したらスモークチーズをすぐに食べたくなりますが、自家製で燻製したスモークチーズが美味しくなるのは、一晩冷蔵庫で冷してねかした後だったりします。


燻製直後のスモークチーズは、味見程度の食べる量で我慢して、翌日以降にスモークチーズを楽しむのがオススメです。

失敗しないために重要な3つのこと

私が燻製したことがない人にスモークチーズの作り方を教える時に話す内容を書いてみました。
長文をダラダラと書き上げてしまいましたが、要点として大事なことは下の3つです。

・熱に強いチーズを使う
・クッキングシートを使う
・温度を上げすぎない、長時間燻さない

それ以外は、チーズ以外の食材を燻製するときと同じです。

チーズだけ気を付けることと記載してしまうと、チーズの燻製だけハードルが高そうに聞こえてしまいますが、チーズは燻製前の下準備が必要ないので、むしろハードルは非常に低いと言えます。

自家製のスモークチーズは驚くほど美味しいです!
ぜひ、試したことがない方は、キャンプやBBQ、または自宅にてチャレンジしてみて下さい!